笙・篳篥・龍笛を作ってみよう!

笙吹きロバの はちゃめちゃ楽器制作日誌

その1

2008・1〜


ロバの雑記帳    笙のページ 

その2


鏡を頭に取り付けた。

心木と鏡を漆で接着し木の釘で止めた。

これから全体に麻布を着せる。

これからが大変。頭が仕上がるまで数ヶ月かかる。

全体に生漆を塗って・・・

布着せ、下地塗り、・・・とこれからの工程が長い。

とりあえず頭を3個作って見ることに。

『楽家録』によれば頭の材料は檜(ひのき)か桜だそうだ。

今までに修理した楽器や、聞くところによると作者によって色々な木で

作っているそうです。桐(きり)、欅(けやき)、朴(ほお)等。

ただ桐は柔らかくて加工しやすいが強度に欠けると思う。

湿気を吸い取ると言われる方もあるけれど、湿気を吸って

木地が膨張すると漆のひび割れが起こるのではないかと思います。

まあ内面に漆を塗っておくと湿気も吸わないと思いますが。

内面に生漆を塗る。

お椀は息や唾液の水分を吸収して膨張しないよう、

木地が水気を吸い込まないよう漆で完全防水しなければならない。

吹き口の部分を漆でひっつける。

ちゃんとホゾを入れている。

漆は“麦漆”と言われるもの。 生漆に小麦粉を混ぜた漆。  

笙の頭制作中。

鏡はベークライト製。

吹き口部分は2枚の板を張り合わせ作るそうだが

1個の木をくりぬいて作った。

またお椀の中央の柱(心木)は本来はお椀と別に作り、

鉛の重しと共にお椀にくっつけるそうだが

今回は旋盤で製作するときお椀と一体に作ってみた。

左の黒い物は以前の製作途中のもの。下地塗りが終わっている。

まあぼちぼち作っていきましょうか・・・・。 2008・5

 

鉛を小さい缶に入れバーナーで溶かして竹筒に入れる。

鉛は融点が低いからすぐ溶ける。

竹筒を地面に刺して、外で作業をしたらいい。

 

竹筒の中に鉛を一度に多量に入れると

膨張した空気が鉛とともに吹き出すので注意。

 

完成間近の篳篥。

実際にリードを差込んで鳴らしてみると、どうも音が詰まるのである。

内径が狭過ぎるようなので内を削り調整中。

完成間近の龍笛。

もう一管の笛は内径が大きすぎ、低音域はよく鳴るのだが、

高音域が出にくいので再度砥の粉を混ぜた漆を塗り、内径を調整中。

龍笛に籐を巻いた。

膠と焼きゴテで籐を巻いていくのだがこの作業が意外と大変だった。

完全に固まってしまったら拭き取れないので、柔らかいうちに拭き取る。

籐巻き部分に錆び漆をヘラで擦り込む。

参考本によると擦り込む漆は “ほこり漆”といわれる漆で

生漆に松煙を混ぜた物らしい。

 

この上から錆び漆を塗る

巻き部分の境目をマスキングする

篳篥に籐を巻き、黒漆を塗る

へぎ板を膠で接着、形を整える。

指穴部分の谷部分はまだ削っていない。

蝉部分 左は黒檀、右は真竹の節部分。

蝉は膠で接着するそうだ。

膠(ニカワ)を湯煎しているところ。

60度から70度で湯煎。温度計を気にしながらの作業。

ニカワはタンパク質系接着剤なので温度が上がりすぎると変質してしまい

接着力が落ちるらしい。

“猫掻き” 上記写真のように指を押さえる谷部分の白っぽい繊維を取り除く。

白い木質部分は女竹を深く削る程たくさん現れる。

茶色の濃い部分は維管束で固い部分なので取り除かない。

1つずつ根気よく取り除くのだが、あまり深くやると割れを誘発しそうで控えめに。

へぎ板等を削り形を整えていく。だいぶん楽器らしくなってきた。

笛は以前作りかけのもの。これから籐を巻いていく。

いい資料が手に入った。

小野雅楽会出版の『雅楽界第51号』より

『雅楽界第52号』 より

著者のエディーン木下氏は日系アメリカ人?の女性で

ハワイ大学で雅楽を学ばれ、修士論文作成のため

実際に京都の山田仙太郎氏のところで楽器制作に携わられた。

そして制作過程を詳細に記録された。

ロバが学生時代、この記事を興味深くを読んだことがあった。

そして大学4年生の時、カナダ・アメリカに演奏旅行に行ったとき

ハワイ大学でエディーン氏とお会し、ちょこっとお話をさせて頂いた事を覚えている。

まさか20数年経ってこの記事が貴重な資料となるとは・・・・。

 

『雅楽界第51号』より

記事によると龍笛は3つのパーツに分かれていると記されていた。

蝉部分の作り方が横笛研究会のものと違うな・・・

色んなやり方があるのだろう。

今度からこのやりかたで作ってみよう。

 

「篳篥の構造」もあるそうだが、『雅楽界』には掲載されていない??ようだ???。

 

新田次郎氏の『笛氏』にも少しであるが龍笛の制作工程が記されて興味深い。

笛師のモデルとなった人は京都の福田泰彦氏である。

笛作りに興味ある方は是非読んでください。

龍笛管内に下地漆を塗ったところ。

これを十数回繰り返す。

『笛師』によれば太い管では20回ないし100回塗ると記されている。

漆は表面だけなら約1日で乾くが芯まで乾くとなると半年かかると読んだことがある。

極薄く塗り、乾いてはまた塗りするのだろう。

楽器が高価なのもうなずけるな・・・・・。

篳篥 上の管 指間部分を和紙で巻いた。

だいぶん篳篥らしくなってきた。

龍笛にへぎ板を巻く。

蝉部分を彫刻した。

ついでに“猫掻き”を入れた。

割れた管にくさびを入れて補強した。

以前このようなくさびを入れて補修していた篠笛を見たことがあるので。

この部分は籐巻き部分で隠れる。

じゃまくさ・・・・。

龍笛首部分にへぎ板を巻いたところ。

笛は以前作りかけのもの。

へぎ板の接着は何でするのだろうか、漆、膠?

龍笛本体と首部分は膠で接着と書かれてあったので膠を使った。

膠は水分と熱とで柔らかくなるので後々補修がしやすい。

古より洋の東西を問わず多くの楽器の接着に膠が使われている。

へぎ板は今回は漆で接着した。

篳篥 図持部分にへぎ板を巻いたところ。

へぎ板に漆を塗りたくった。

漆をやっていると白木には無性に漆を塗りたくなるのである。ロバだけ・・・・?

 

龍笛の首部分(頭管)に “蝉(せみ)” を付けるため竹に切り込みを入れ黒檀をはめ込んだ。

漆で接着しているところ。

ひっついたら蝉部分を彫刻しょう。

継ぎはぎだらけの笛に成りそうだ。

どんな笛になるか楽しみだ。

今回は首部分(頭管)の中程に節がある煤竹を使ったが、参考HPには先端に節がある。

色々な笛を見ると首部分の巻き部分の間、蝉(せみ)部分の反対側はかなり出っ張っている

ので中間に節がある竹を使ったが・・・・。

本体と首部分を接ぐためのホゾ加工。

本来は“接ぎ管”という竹で接ぐそうだが、ぴったりとした材料が無いため

本体側をけずり、首側にホゾを入れ挿入するようにした。

竹は表面が固いのであまり削りすぎると継ぎ手部分が弱くなるので注意が必要。

 

龍笛の首部分の先部分を別の竹で接いでみた。

穴の大きさ調整のために。

この穴に赤い錦をまとった栓が入る。

ホゾが入っているので抜けることはない。

このような接ぎ方だと継ぎ手部分は籐巻き部分で隠れて見えないが

以前、先端部分の竹の中に穴調整の為の別の竹を入れている笛を見たことがある。

龍笛用の竹に穴を開ける。

もともと割れた竹で作ったので、制作途中に割れてこないように輪ゴムで縛ってある。

へぎ板を巻き、籐を巻くまで縛っておこう・・・・。

 

この後管内を綺麗に掃除、吹き口の向こうにコルクで壁をつくり

実際に音を出して大まかに音程調整をする。

吹き口や指穴を削って、管の内径をけずって調整、・・・難しい作業です。

後で下地漆を塗るので調整は大まかでいいと思います。

図持以外の管内をペーパーで平滑にする。

同時に指穴を削り実際に音を出しながら調整する。

この時点でちゃんとした音程に成っていないとね・・・

 

この後管内に朱色の漆を塗るのだが、漆を塗ると管内の内径が変わり

図持の部分の懐具合も変わってくる。

このあたりの調整が難しいところだ。

 

そのリードを制作中のものに差込み、リードが同じような位置までくるまで

図持ちの錆び漆を削り平滑にする。

管内を平滑にする道具は 竹の棒に紙ヤスリを巻いたもの

最初は荒いもの、段々と目の細かいもので仕上げていく。

制作モデルとなる篳篥(今回は、たなかやプラ管)に “勝負リード” を差し込み、

普通に吹いて、壱越の指で壱越、平調の指で平調の音が出るのを確認して、

リードが図持ち部分のどのあたりまで入るかを確かめる。

 

龍笛の首に籐を巻き、漆を塗ったところ。 首をすげ替えた笛。 

漆の取り扱いはくれぐれも注意が必要です。

かぶれを覚悟してやらねばなりません。

どんなに注意していてもかぶれますね・・・・・

手袋をしての細かい作業はやりずらいしね・・・大変です。

かぶれてみて漆の偉大さが分かるような気がします。

たかが木の汁なのにね・・・・

恐るべき塗料です・・・・。

あ〜痒い!!

篳篥管内に朱漆を塗る。

朱漆は朱合漆(しゅあいうるし)に赤い顔料を混ぜて作る。

顔料、漆は同量程度。

本職は顔料と漆がなじむまで一昼夜置いておくそうだ。

その後和紙で濾すのだが、濾したとき1/3から1/4程の漆がパーになるので

少し多めに作っておかねばならない。

漆を濾す和紙は専用の和紙があるが、今回は試しに花粉症対策のマスクでやってみた。

手間が掛かります・・・・・。

 

篳篥吹きに聞くと、篳篥の図持部分は別の竹で作られ、本体と接いでいるそうだ。

上記写真の上の管は図持部分を接いである。

 

 

 

切れ目を入れたリード これから振動面の裏をすいていく

篳篥管内に生漆と砥の粉を混ぜた下地の漆を何回も塗る。

塗っては乾燥、また塗っては乾燥・・・・・

漆は薄く塗らなければならない。

表面は乾いても中まで完全に乾くには半年以上かかるといわれている。

でこぼこは後で研ぎ出すので気にしない。

 

下地は砥の粉に水を入れ練り合わせ、それに生漆を加える。

この時の分量は参考本もまちまちだが、漆が少なければ

弱い下地になってしまうので注意が必要。

水で練った砥の粉、生漆=1:1 というのがあった。

 

尺八作りのホームページが参考になるだろう。

坂東太郎の尺八のホームページ

 

 

割れた竹を補修、そして途中で継ぎ足し。

接ぎ目は隠れる。煤竹を有効に使っているわけだが・・・・

篳篥の管内に生漆を塗る。

この後砥子と生漆の混ぜたものを塗る

切れ目を入れる前の笙のリード。

分厚い材料をここまで薄くするのが大変だ。

穴を開けた篳篥。

ある程度穴を開け、谷をほり、実際にリードをつけて音程を調整したらいいと思う。

リードが入る図持部分 この作りが大きく鳴りに影響する。

モデルとなる篳篥の図持ちに小指を差し込み、

制作中の竹管でも同じような深さになるまで竹を削る。

 

これも以前の作りかけの笛

一番最初に作った笛の首のすげ替え。

この後籐を巻く

今回の笛制作のモデルとしたのが天理のたなかやのプラ管。

へたな本管より余程良く鳴ると言われている。

指穴の配置等を参考にした。

割れが入った煤竹を漆で補修しているところ。

貴重な煤竹 捨てるにはもったいないですから・・・ 

笛に巻く“へぎ板”とよばれる薄い板。

 今回は折り詰め弁当の底や蓋を利用する事に。

和紙を巻いてもいいとのこと。 

竹ひご金具がなければ空き缶でも十分いける。

 

 

龍笛や篳篥に巻く籐

その籐を上記のような金具でひいて細くしていく。

段々と細くしていくとうまくいく。

金具は竹ひごを作る道具でホームセンターに売っている。

籐は釣具屋等にある。細い物ほど値段が高い。

篳篥のリードが入る図持(ずもち)部分を別の竹で作ってみた。

ホゾが入っているので抜けたりはしない。

こんなやり方あるのでしょうか・・・・

(篳篥吹きに聞くと、図持ち部分は別の竹で作り、後で本体にひっつけるそうです)

今回は太め 上、細め 下 、2管作ります。

篳篥の材料となる煤竹

竹を細く割って 8本、18本の竹をひっつけて 龍笛を作る “割管” という技法があります。

京都の八幡内匠 では18片の竹をくっつけて笛を作るそうです。

 一度 挑戦してみたいな・・・・・・・。

週間人間国宝66号雅楽より 

 

また、その竹片を裏返して “返し竹” という技法もあります。

竹は表面が固くて内側は柔らかい素材です。それを外側の固い部分を

内側にもっていくと 高い鋭い音が出るそうで、能管に良く用いられる技法です。

 

これ以外に笛頭部(首)につける本体より太い竹で作られるを竹が要る。

真竹が使われている場合が多いという。

 

参考ホームページ 

龍笛の作り方:  http://www.mie-c.ed.jp/esugur/5nen-jidou-tukurikata1.htm

 

龍笛の材料となる煤竹

女竹、もしくは篠竹といわれている。

下のものは途中で接いである。

本当は1本の竹で作ればいいのだろうが、

悲しいかな材料が無いのです・・・・・・

 

龍笛は籐や樺が巻いてある部分で接いであると

外から見ても中から見ても分かりません。

レントゲンでもとったら分かるでしょうが・・・・

笛の制作、修理をしている方の話を聞くと色んな箇所で接いである笛があるそうです。

能管の場合、“のど” のところで接いであることが多いとか。

 

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