笙のリード(簧・した)作りに 挑戦!!

いくら「洗い替え」してもすぐに青石が飛んでしまうような

隙間の大きいリードなど、いっそうのこと取り替えちゃいましょう。

15枚のリードをバランス良く作るにはかなりの根気と年季が必要ですが

 まずは大簧、中簧 から 1枚、2枚と挑戦してみてください。

自分の作ったリードがうまく鳴ると、それは もう最高!! です。

(最終更新日 2001.5.12)

 

 まずは道具作りから

 リード作りに使用する道具

 リードの材料選び

 リード作り

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 まずは道具作りから

鏨(せん)作り

リードを削るノミみたいな道具。

材料 三角ヤスリ 1本
四角ヤスリ 2、3本
柄(え)となる木 
グラインダー (左右に粗い、細かい砥石が付いている物)
三画鏨

 三画ヤスリをグラインダーで、先が鋭利な▲になるまで削る。三角形の一辺の長さは1o〜1.5o程

四角鏨

 四角いヤスリを同じく鋭利な長方形になるまで削る。大中小と3本あればいいが中、小と2本あれば事足りる。

四角鏨(しかくせん)の幅

大 2o程

中 1.7o程

小 1.3o程

厚さ 0.7o程

 

 出来た鏨に自分にあった柄を付ける。(長さ30センチ程) 柄は木を縦に半分に切っておいて、ヤスリの部分が入る溝をつけておき、加工した鏨を入れ木を合わせる。又は柄に穴を開けておいて、鏨をその中にぶち込んでもいい。

注意:ヤスリにあまり熱を持たさない事。焼きが戻ってしまう。

 
 
作業台作り

リードを固定して削る作業台。

材料 作業台となる木の板(30センチ四方程)
L字金具とネジ
鉄板か真鍮板
 上記の材料を下の図のように組む。 L字金具の隙間はリードの幅(5.5o〜6o程 自分の楽器にあったリードの幅に固定しておけばよい)。L字金具の下の板は筋が付くので適当に取り替える。

机の角に引っかけて使用する(↑部分)

自分にあった 道具を作ってください。

 

 リードの材料選び

 笙のリードの材質は青銅(銅と錫との合金)である。黄銅(=真鍮 銅と亜鉛の合金)との見分け方は難しいが、青銅の方が何となく「青みがかっている」 真鍮は「黄色みがかっている」。ちなみに5円玉は真鍮である。
 「人工青石」の欄(現在工事中)で使用したエッチング液に浸すと 真鍮は泡が出るが、青銅は変化がない。(青銅は真鍮に比べ対薬品性がある)
 同じ青銅でも、たたくと澄んだいい音がするのがいい。鈍い音がするのは材質が柔らかすぎる。
 骨董品店巡りするのもいいし、韓国、中国の楽器を扱っているいる店にもいいのがあるかも。

 「ジルジャン」のシンバルでリードを作る宮内庁楽部の先生がおられると噂で聞いたことがある。

 得体の知れない高い値の骨董品を買うより中国・韓国のドラ類や「ジルジャン」のシンバルの方がいいかも。(楽器として作られているから)

 ロバは中国製のシンバルみたいな楽器、ジルジャンのシンバル、骨董品店で買った金属の碗やら色々試したが、中国製のが一番よかった。ジルジャンのシンバルも削り方を工夫すれば結構使える。

 

 リード作りに使用する道具

グラインダー か 砥石 グラインダーは左右に目の粗い砥石と目の細かいのが付いている物。リードを薄くする時に使う。ロバはグラインダーを使っているが、時間のある人は砥石でどうぞ。ヤスリでギコギコするのもいい。
ノギス (あれば大変便利) 小型の物でよい。嘴部分の先がとがっている物がよい。
作業台 上記で作った台
▲鏨(三角せん)  
■鏨(四角せん)  
幅の広いヤスリか砥石 目の細かい物
カッターナイフ 小型のもの。
チューナー  
   

 リード作り

 材料切断

材料となるものを切断する

金ノコで材料を切断する。熱を持たせないこと。
 
 材料を薄くする

リードの厚さまで薄くする

グラインダーの砥石の部分に水をかけながら材料を薄くする。材料に熱を持たさない事。
大簧(おおじた)=乞一工几乙、中簧(なかじた)=下十美彳七、小簧(こじた)=比言上八千

厚さ 大簧(〇.六o)、中簧(〇.五o)、小簧(0.4o)程 (雅楽観賞より)

幅 6o〜5o 笙根継ぎの舟の幅に合わしたらよい。

リードの厚さは音程に関係ないが分厚すぎると削るのが大変。

グラインダーを使う時、水を使うので感電に注意(必ずアースする)。やけどに注意。指を削らないように。
 材料を短冊状に切断、罫書き(けがき)

リードの長さに切断、そして振動部分の罫書き

各リードの長さに裁断する。(材料を切断してから 薄くしてもよい)

乞から千を 2.12p〜1.21pまでの間で順に短くする。(雅楽観賞より)

罫書き。カッターナイフで振動部分の線を付ける。

(最初からカッターナイフで 線を入れれば失敗したら困るので、まず何かで下書きをして、その後カッターナイフで線を入れればよい。)

振動部分に線を入れる罫書きガイドみたいな道具を作っている人もいる。材質に合わせて幅を変えている人もいる。色々試してください。

 

多くのリードは振動部分が 先に行くほど細くなっているが、同じ幅でも問題はないと思う。色々試してみてください。

リードの長さ、幅は直接音程に関係ない。楽器に合わせて作ればいいと思う。

リードの長さは音程に直接関係ないが 千 から 乞 まで順に長くしておかないと後々ややこしい事になる。

振動部分の長さが実際の音程に関係するが、しかしこれも削り方で多少は変わってくる。

 

◆  リード振動部分の溝切り(切れ目を入れる)   

@ まず▲鏨でリード振動部分の「コ」の字部分の 「|」(立ての線 振動部分の先)を削る。削る反対部分(表側) に少し盛り上がりの線が出るまで削る。

A 続いて「=」(横の線)を削る。削る要領は上記と同じ。

B ヤスリで表側を削る。(線が消えるまで)

C @〜Bを繰り返し 頃合いを見計らって

D カッターナイフで線を入れ、切れ目の完成。

 

削る時、一気に削る。(途中で止まらない 段差が出来る)

切り溝の隙間(上記↑)は  0.05o くらいを目標とする。

よく、曲がったりするが、音には直接関係ない。

 振動部分を薄く削る 四角鏨で振動部分を薄く削る。耳元でリードを弾き、リードの音程が今どのあたりにあるのかをチューナーを使って常に把握しておく。最初はかなり高いところにある。削っていくと低くなる。

目的のリードの音程より半音ぐらい高めになるように削る。

削る時、一気に削る。(途中で止まらない 段差が出来る)

小簧になる程、削るのが難しくなる。(振動部分が薄いので)

この行程でリードの振動部分が波打つ事がよくあるが、真っ直ぐに直しておく。

削る要領

振動部分の先を削ると音程が上がる。 腰の部分を削ると下がる。

振動部分を薄く削ると 軽いリードが出来る(少しの息で鳴るリード、サラサラした音色)

 

 

▼ 腰の部分の削り方は色々あるが試してみたらよい。 

 

▼ 乞一工のリードは先を削らずに少し残しておいても良い。

 調整 出来上がったリードを「洗い替え」する。

楽器に取り付けて「調律」する。「空鳴り」、「かた音」を調整する。

バランスが他のリードとずれているのを外し、再度削り直すか、作り直す。

15のリードのバランスが合ったら、馴らし吹きをする(リードが落ち着く)。

息漏れがするようだったら再度「洗い替え」をする。

再度「調律」する。

後になって色々不具合が出てくることもある。その都度調整をする。

 

各リードのバランスが取れているかどうかは、必ず「調律」してから行う。

再度の「洗い替え」はリードの裏面だけに青石を塗ってもよい。

 

 

最初堅いリードでも吹いている内に、鳴るようになってくる事もある。

最初から軽い息でシャーシャ鳴るのもいいけれど、篳篥のリードと同じく、吹き込んで鳴るようにする方がよいと思う。

笙のリードは一生ものか、それとも消耗品と考えるか。絶えず吹いていると他の楽器のリードと同じく、へたってくる(金属疲労等で)。

ロバの雑記帳