賢い女房
白族
ある男が仕事で家の建て増し工事に行きました。
男はそこの娘を見て一目惚れをしてしまい、早速結婚を申し込みました。
男はその娘と晴れて結婚しました。
しかし、妻があまりにも美しいので妻の側から一時も離れようとしません。
もちろん仕事にも行きません。
これではだめだと妻は自分の姿絵を書いて男に渡しました。
すると男はその姿絵を畑に立てて畑仕事をするようになりました。
ところがある日、大風が吹きその姿絵を飛ばしてしまいました。
絵は風に乗ってはるばる皇帝の住む宮殿に落ちました。
舞い込んできたその姿絵を見た皇帝は描かれた女性に熱中してしまいました。
家来を使って国中探し廻り、やっとのことでその女性を見つけだしました。
皇帝は女性を自分の妃にしようと無理矢理、宮殿に連れて行きました。
妻は夫と別れるとき 「百羽の小鳥を捕まえて その羽で衣を作り、それを着て宮殿まで来てください」
と言い残した。
男は百羽の小鳥を捕まえ、それの羽で作った衣を着て宮殿に行きました。
ところで女性は宮殿に連れて行かれてからは一度も笑いませんでした。
しかし、それまで一度も笑わなかった女性がその羽の衣を着た男を見て初めて笑い出しました。
皇帝は男にその羽の衣と皇帝の着物を交換してくれと言いました。
そして皇帝は羽の衣を着ました。
すると女性は大声で 「化け物!」 と叫びました。
それを聞いた衛兵は、 化け物皇帝を殺してしまいました。
おわり
中国少数民族の昔話 白族民間故事伝集
原題「巧女」
上記以外にも 「百鳥衣」 という題の同じような話や
他の民話の中に 上記の話が混じったのもあります。
日本昔話の「絵姿女房」もほぼ同じ話の展開をします
絵姿女房
ある男が女と結婚するが、女房の美しさに見とれて仕事に行かない。
女は自分の姿絵を男に渡す。
風が吹き絵が飛ばされて殿様の庭に落ちる。
殿様はその女を捜し出し無理矢理自分の女房とする
女は連れて行かれるとき「3年後に桃売りになって来てくださいと言い残す
男は3年後に桃売りとなって殿様の所に行く。
女は男の売り声を聞いて初めて笑う。
殿様は桃売りと着物を取り替える
殿様は門番に追い出される。
日本昔話集成「絵姿女房桃売り型」